【書評】日常を会計学の視点で見る「さおだけ屋はなぜ潰れないのか?」~身近な疑問からはじめる会計学~

今回は、身近な疑問を会計学の視点で解決していくビジネス書「さおだけ屋はなぜ潰れないのか?」をご紹介します。

この本に出合ったきっかけは、Prime Readingの対象になっていたことです。

Prime Readingとは、Amazon プライムに入会していると対象の本を無料で読むことができるサービス。(時期によっては対象外になることもあります)

そこで検索している時に、キャッチーなタイトルで聞き覚えがあったこの本に興味を引かれ、試しに読んでみたのです。

最初は会計学の本とは知らず、単純に「なんでさおだけ屋は潰れないのか」という疑問だけ解消するつもりでした。

しかし読んでいく中で次々と新しい疑問が出てきて、気になって読み進める内にあっという間に完読。

内容はいかにも会計学といったややこしい数字の計算はなく、誰もが気になるであろう疑問に対して謎解きしていく流れで、ページをめくるたびにワクワクしてしまいました。

そんな思わぬ形で出会ってしまった、難しい会計学をシンプルに理解できる「さおだけ屋はなぜ潰れないのか?」の書評をお届けします。


お金の使い方を考えさせられる本

公認会計士の著者は、巷にあふれる初心者向けの会計学の本が難しいことに疑問を覚え、「日常の疑問を例に挙げて会計そのものに興味を持ってもらう」をコンセプトにこの本を書かれました。

そのため会計学にまったく無縁のボクであっても、スラスラと読み切ることができたほど読みやすかったです。

「別に会計学なんて興味ないし…」と考えている方でも、意外と実生活へ応用できる内容が多いことに気付くはず。

そもそも会計とは「物品や金銭の出入りを管理すること」なので、大まかには家計と同じなんですね。

普段の買い物でも会計学の考え方があると、無駄な出費を抑えるヒントにもなります。

実際ボクはこの本を読むことで、普段の買い物に対する概念が大きく変わることになりました。

節約お得という言葉についつい反応してしまうなんて方には、特に興味をもって読んでもらえれるかと思います。

聞き慣れない言葉も多少出てきますが、身近な事例を元に紹介されているのでイメージがしやすく、頭にスッと入ってきますよ。


会計学から考えるお金の貯め方

個人でお金を貯めるにはどうすれば良いかを考えた時、収入を増やす節約するという2点が真っ先に浮かびます。

これは会計学でも同じことで、この本でも次のように書かれています。

利益を出すためには、「売り上げを増やす」「費用を減らす」のふたつの方法しかない。しつこいようだが、知っていると得する知識である。

引用:さおだけ屋はなぜ潰れないのか?

これだけ聞くと、「そりゃそうだろ…」と思うかもしれません。

しかしこれが大切な考え方で、他の章でもたびたび出てくるくらい会計学の基本になっています。

この本では全体的に、費用を減らすための「節約」に対して多く書かれてありました。

特にボクが感銘を受けたのは次の部分。

費用の削減はパーセンテージで考えるべきものではなく、絶対額で考えるべきものなのだ。

引用:さおだけ屋はなぜ潰れないのか?

たとえばスーパーで牛肉を買う時に、国産牛肉1000円と外国産牛肉500円であれば価格が2倍の国産牛がとても高く感じてしまいます。

しかし、300万円の新車を買う時に数千円のオプションを次々付けていき、301万円になっても大差は感じません。

しかし差額だけでみると、500円と1万円になるんですね。

このように、もともと高価なものを買う時は多少高くなっても「少しくらいええか…」となってしまいがちなので、買い物は絶対額で判断するべきだということです。

たしかにボクも、スーパーでは数十円の差を気にするくせに、新車を購入する時には何千円ものオプションを平気で付けるなんてこともありました。

これでは普段の節約が台無しですよね。

もちろん「たまにする大きな買い物だからケチケチしたくないんだ」という気持ちもありますが、支払いを絶対額で判断するというのはとても大切な考え方です。

「もったいない」は損をする

ボクは物を捨てるのが苦手なタチでして、理由としては「高かったから捨てるのはもったいない」「いつか使うかもしれない」といった感情からです。

ただ、このもったいない精神が逆に損をしてしまう原因になると、この本では書かれています。

「損をしないために在庫を減らす」という考え方は家庭でも見習うべきだ。

引用:さおだけ屋はなぜ潰れないのか?

企業では在庫を持つことで余計な費用がかかる、在庫コストという考え方があります。

たとえば余分に商品を置いていると紛失や盗難にあうかもしれませんし、場所代もかかります。

ときには倉庫を借りる必要があり、在庫確認のための人件費が発生することも。

これは家庭内でも言えることで、物があふれている家には次のようなデメリットがでてきます。

  • 部屋が散らかる
  • 余計な収納棚が必要になる
  • 部屋の模様替えが気軽にできない
  • 必要なものを探すのに手間がかかる
  • 引っ越しで時間も費用もかかる

そういえば昔、着なくなった服を念のため残しておいたせいで普段着が収納できず、新しい収納棚を買い足すということがありました。

この棚の購入費は、着なくなった服を処分していれば出なかった余計な出費です。

なんでもかんでも捨てるのは感情的に難しいこともありますが、「物を置いておくのはタダじゃない」という概念を頭に入れておくのは大切ですね。

数字のセンスを鍛えると世の中の本質が見えるようになる

世の中には、同じ景色でも見る人によって違う風景に見えることがよくあります。

それは知識や経験によって、色んな角度から物事を判断できるようになるからです。

たとえば野球に詳しい人なら「今のプレーはすごい!」なんて言いますが、野球を全然知らないボクにとっては何がすごいのか分からず何も感じません。

これは世の中にある数字を見るときも同じで、「会計学の考え方を取り入れると同じ数字でも違う解釈ができるようになる」と、この本では書かれています。

物事をキチンと数字で考えることができるかどうか、それが数字のセンスだ。

引用:さおだけ屋はなぜ潰れないのか?

この数字のセンスというのがまさに、さまざまな視点で数字を見ることができるかどうかということ。

たとえば次のような塾のチラシがあったとします。

  • 市内6教室で有名高校に120人を合格させた大手進学塾
  • 有名高校に40人合格させた個人塾

120人という数字のインパクトで大手進学塾に目を引かれますが、1つの教室あたりでは20人です。

個人塾は1つの教室で40人も合格させているので、1教室当たりではこちらの方が多くの合格者を出しているんですね。

同じ数字でも、考え方によっては見え方が180度変わって見えます。

前述したような「購入費用はパーセンテージではなく絶対額で考えるべき」も、数字のセンスです。

このように、数字はただの記号ではなくキチンと意味をもったものだということですね。

そういった目線でみると、世の中の広告やチラシは数字のトリックが上手く使われてあるのがよく分かります。

ちなみにこの本では、あなたに数字のセンスがあるかどうかを見分ける問題が出されています。

それが、「50人にひとりが無料」というキャンペーン広告に対してどう感じるかというもの。

この問題の解説が目から鱗で、ビジネスの裏側を見れたような高揚感を感じました。

これは実際にこの本を読んで、体験して頂きたい部分ですね。

まとめ

読み終わった感想を一言で表すと、「会計学は日常生活にも使えるんだ」ということです。

それまでは企業などでしか使わないもので一般人には無縁だと思っていましたが、この本を読むとその概念が変わります。

会計学というのは、知っていると人生を豊かにしてくれるエッセンスのようなものだと感じました。

身近な疑問からはじめる会計学というサブタイトルに恥じない素晴らしい内容ですね。

「言われてみれば確かに気になる…」という疑問が次々に出てくるので、読みものとして単純に楽しくエンタメ性も高いです。

商売の仕組み家計のやりくりといったものに興味のある方には、特におすすめできます。