【書評】10の思い込みを捨てる。FACTFULNESS(ファクトフルネス)

ファクトフルネス 書評

今回は、2019年の大ベストセラー『ファクトフルネス』の書評です。

サブタイトルの「10の思い込みを乗り越え、データを基に世界を正しく見る習慣」の通り、今までの勘違いに気づかされる良本です。

ビル・ゲイツも「名作中の名作。世界を正しく見るために欠かせない一冊だ」と絶賛しており、2018年にアメリカの大学を卒業した学生のうち、希望者全員にこの本をプレゼントしたほど。

とはいえ、400ページ近いボリュームなので、全て読もうとすると8時間近くかかってしまいます。

そこで、ファクトフルネスの簡単な要約と、本を読んで感じたことについてまとめましたので、購入前の参考にしてください。

目次

ファクトフルネスを要約

ファクトフルネス 要約

ザックリ要約すると、「世界は悪くなっている」という漠然とした思い込みについて、「世界は徐々に良くなっているんだ」ということをデータを基に示してくれています。

具体的には、下記の10個の思い込みを解説されています。

  1. 分断本能:「世界は分断されている」という思い込み
  2. ネガティブ本能:「世界はどんどん悪くなっている」という思い込み
  3. 直線本能:「世界の人口はひたすら増え続ける」という思い込み
  4. 恐怖本能:危険でないことを、恐ろしいと考えてしまう思い込み
  5. 過大視本能:「目の前の数字がいちばん重要だ」という思い込み
  6. パターン化本能:「ひとつの例がすべてに当てはまる」という思い込み
  7. 宿命本能:「すべてはあらかじめ決まっている」という思い込み
  8. 単純化本能:「世界はひとつの切り口で理解できる」という思い込み
  9. 犯人捜し本能:「誰かを攻めれば物事は解決する」という思い込み
  10. 焦り本能「いますぐ手を打たないと大変なことになる」という思い込み

上記は目次の引用ですが、見出しを見ただけでも何となく内容がイメージできると思います。

こういった思い込みについて、データという事実を基に解説されているので説得力が違います。

特に面白かったのは、最初に出されるチンパンジークイズ。

現在、低所得国(1日の所得が2ドル未満)に暮らす女子の何割が、初等教育を修了するでしょう?
A.20% B40% C60%

こういった問題が13問あるんですが、著名な科学者やジャーナリストでも、正解率はチンパンジー(当てずっぽうでも33%)以下。

専門家ですら思い込みで間違いが起こる、人間の本能についても解説されているので、非常に興味深い内容です。

ファクトフルネスを読んで感じたこと

ファクトフルネス 感想

ファクトフルネスを読んだ気づきについて、お話していきます。

世界は悪い状態だが徐々に良くなっている

「現代は悪いニュースが多く、昔は良かった」と考えている人は多いですが、これも大きく2つの要因があります。

人は昔を美化しがち

社会人になると「学生時代は良かった」と考えることはよくあります。

ただ、その学生時代には「子どもの頃は良かった」と考えていたはず。

人間は、過去の嫌だった思い出からは目をそらして、美化してしまう傾向があります。

こういったことが原因で、現在やその先の未来が暗いと考えてしまいがちなんですね。

悪い話題に偏った報道

テレビを付けると、「紛争」「自然災害」「難病」「リストラ」などなど暗いニュースで持ちきりです。

ただこれは仕方がないことで、世界のゆっくりとした進歩は、インパクトが少ないので話題にすら上がりません。

「旅客機、今日も無事着陸」「農作物の収穫にまた成功」など、わざわざニュースになるはずが無いですよね。

交通事故数
引用元:Park blog

たとえば、日本の2019年交通事故死者数は、過去最少になっています。

とはいえ、こういうニュースは、ほとんどの人が知らないはず。

情報を受け身ではなく能動的に受け取ることで、世の中は徐々にですが良くなっていることが分かるので、極端に悲観することもないなと感じますね。

「悪い」と「良くなっている」は両立する

著者は、「世界は良くなっていると言っても、心配する必要はないとも言っていない」とも語っています。

物事には、悪い部分と良くなっている部分は両立するということです。

これは、保育器で育つ早産児のようなもの。

危険な状態にある赤ちゃんを保育器に入れて1週間後、体調がだいぶ回復した状態になったとします。

この時の赤ちゃんは、「まだ保育器からは出せない危険な状態」とはいえ、「良くなってきた」とも言えます。

イメージ的には、まさに世界はこんな感じというわけですね。

世の中には、物事を「良い」「悪い」で判断したがる人も多いですが、両方が共存する状態もあることは頭に入れておかないといけませんね。

高いところにいると下の景色は同じに見える

本書では、生活水準を発展途上国と先進国の2つに分けず、下記のように1日の所得によって4つのレベルで区分されています。
※レベル1:~2ドル レベル2:2~8ドル レベル3:8~32ドル レベル4:32~

レベル

日本人なら、ほぼレベル4(1日の所得が32ドル以上)ですね。

「世界から見ると、日本は恵まれている」と言う人もいますが、写真で見るとより納得できます。

これは本を読む前から何となく想像していたものの、ハッと気づかされたのは、レベル1~3の暮らしで、所々「あまり違いが分からない」部分があったこと。

本書にもこう書かれています。

高いところから低いところを正確に見るのは難しい。どれも同じくらい低く見えるけど、実際は違う

もちろん、所得の低い人を下に見ている意識はなかったものの、パッと見たときは、正直違いが分からなかったです。

こんな感じで、「分かったつもり」になっていることって、たくさんあるんだろうなと少しショックを受けました。

ファクトフルネスをおすすめしたい人

ファクトフルネス まとめ

最後に、この本をおすすめしたいのは下記のような人です。

  • 世界で起こっている変化を正確に知りたい人
  • 科学者でも陥ってしまう「思い込み」を知りたい人
  • 友達にチンパンジークイズを出してドヤ顔したい人

ボク自身は読み終わった後、妻にチンパンジークイズを出したらことごとく外れていたので少し楽しかったです(笑)

データという1つの事実を解説されているものの、感じることは人それぞれという観点でも面白い本だと思います。

より詳しく知りたい人は、実是非手に取って読んでみてください。

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