
製造業ってきついって聞くけど、本当のところどうなんだろう。人によっては楽だと聞くし。実際に働いたことのある人から、話を聞いてみたいです。
こういった疑問に、お答えします。
この記事を書いている僕は、製造業勤務12年ほどです。品質管理や品質保証、現場作業員などの経験があるので、製造業界は詳しい方です。
こういった経験から感じた、製造業のきついところと楽なところを、実体験を添えて包み隠さずお話します。
製造業のきついところと楽なところ


さっそくですが、下記の通りです。
きついところ
- 製造現場の悪環境
- 精神的・身体的な疲れ
- 労働環境への不満
楽なところ
- 仕組み化されている
- サービス残業がほぼなし
- 外部とのやり取りが企業
きついところ①:製造現場の悪環境
まずは、産業設備から発生する騒音や異臭のキツさです。
騒音は、設備音が大きく隣で会話するときでも大声を出さないといけないほどで、難聴の心配も出てくるほど。
異臭に関しては、金属を切削するような工場では、切削時に製品が焼き付きを起こさないようにかける切削水が蒸発したときに霧(ミスト)が発生します。除去設備が十分でない場合、工場内に広がっていくことに。
これが独特の異臭がしまして、服にも染み付きますし人体に良いはずもありません。僕の場合、勤務していた時期はずっと胸の器官の辺りに少し痛みを感じていました。
元々タバコの煙が苦手なのもあるでしょうが、同じような人は金属の切削加工の工場は避けたほうがいいですね。
甘い系のお菓子工場は虫歯になりやすい
飴玉の製造会社で勤務していた人に聞いたところ、工場内は甘ったるい匂いが広がっていたそう。
「甘いだけなら良いじゃないか」と思うかもしれないですが、毎日働いていると虫歯になりやすくなるので大変だと言っていました。
一方、スナック菓子系の工場で働いている知人からはそういったことは聞かないので、気になる人は甘い系のお菓子工場は避けたほうがいいです。
クリーンルームへの出入りが大変
電子機器や食品を製造する工場では、製造現場がクリーンルームになっているので、そこへの出入りが面倒です。
クリーンルームはホコリなどが一定数以下で管理されているので、入るときには白衣を着たり、ゴム手袋をわざわざはめないといけないので。
お腹が弱い人やトイレが近い人は、クリーンルームは要注意です。
きついところ②:身体的・精神的な疲れ
製造業の現場で働くとなると、何十キロもある重量物を持ったり忙しく歩き回ったりすることもあります。
そうでなくても、ほぼ立ちっぱなしで作業をすることが多く、ふくらはぎがむくんだり疲れが取れにくいですね。
逆に現場作業員ではなく、品質保証や生産管理といった製造に直接関わらない間接部門では精神的な苦痛があります。
客先クレームがあった場合は、客先対応や現在生産されている品質確認などをしないといけませんし、その際に現場作業者と話し合ったりします。時には客先と現場との板挟みになったり、精神的なしんどさを感じる人も。
現場作業員と一緒に客先へ出向き、夜の10時くらいまで製品の選別作業をしに行くこともあります。
夜勤がある会社も多いので、苦手な人は前もって確認しておいたほうがいいですね。
きついところ③:労働環境への不満
下請け会社の場合、社長や部長クラスの管理職が元請けからの天下りであることがよくあります。
こういったことから、「これ以上は出世できないんだ」「外部の人からの指示に従うのか」と、不満が出てきます。
元請けならあり得ない、下請け会社ならではのキツさですね。
また、基本的に女性が少ない業界なので、独身男性にとってはトキメキも少なくキツイかも。
ここらへんが気になる人は、『【経験談】製造業は出会いがない?出会いを作る具体的な3つの方法』の記事で詳しく解説していますのでご覧ください。
楽なところ①:仕組み化されている
仕事が体系化されているので、初心者でも覚えやすいというのがあります。
あと、生産ラインもほぼ自動化されていることが多く、イレギュラーなトラブルが無い限り手順通りやっていればある程度の生産数は確保できます。
決まった手順通りに作って不具合が出ても、仕組みが悪いだけでその作業者に責任はありませんし。
人が足りない場合でも、他部署から応援に来てもらえるケースも多いので、1人だけの責任になることは少なく、気持ちもある程度楽ですね。
楽なところ②:サービス残業がほぼなし
特に現場作業は時間が来たら、無駄に残されることもなくすぐに帰れることが多いです。交代勤務でも、次の人にちょっとした引き継ぎをするくらいですね。
一方、品質管理や生産技術といった製品を作らない間接部門では、若干の居残りがあることも。とはいっても、長くても20~30分程度ですが。
おそらく接客業などと比べると、サービス残業は格段に少なく働きやすいです。
楽なところ③:外部とのやり取りが企業
製造業では一般消費者と関わることはほぼありません。外注先や仕入先はもちろん、客先も同系列の企業や商社です。
やり取りもあくまで企業同士のやりとりなので、たとえ品質クレームを言われる時でも、大声で怒鳴られるようなことはありません。
特に現場作業者なら外部の人と関わることもほぼ無いので、対人ストレスはほぼ感じないですね。
製造業がきついかどうかは会社によるという実例


経験談を元に、各職種のキツかったところや楽だったところをご紹介していきます。
大手電子メーカー:生産技術
社員数が数千人規模の大手メーカーですが、これだけ大きいと各部署の人員も多いので、仕事の進み具合など監視されるプレッシャーも少なく、自由に仕事を進めることができました。
食堂もあって値段も安く美味しいし、生産技術という業種柄、休憩時間を適度に取りにいけます。
ただ、事務所にみんなで仕事をしているので、他の人が定時になってもなかなか帰らない雰囲気の場合は少し帰りにくい雰囲気はあります。現場作業者ならそんなことは無いでしょうが。
生産技術は、製造ラインが稼働していない長期休暇の間に製造工程の見直しを行ったりするので、長期休暇が丸々取りにくいという点もあります。
とはいえ、製造現場はクリーンルームで清潔だし、働きやすい環境でしたね。
油汚れなど汚い現場に抵抗のある人は、電子部品系の会社がおすすめです。
軽自動車の金属部品メーカー:品質保証・品質管理
金属を削って加工する工場なので、現場はミストが充満していて、何もしてなくても、空気中の油のせいで顔が油っぽくなったりします。
工場勤務に対して汚い印象をもっている人は、こういった金属加工系の工場をイメージしているはず。
品質保証という部署は、特にノルマがあるわけでは無いので、プレッシャーはあまり感じず働けました。(年間クレーム件数などの目標はありますが。)
ただ、事前に不具合が出ないように予防するという仕事なので、逆に言うとやってる感が出にくい職種でもありますし、クレームが多いと大変になります。
こちらも、事務所で作業をするので、みんなが帰らないと帰りにくい雰囲気がありました。
産業機械の部品組み立てメーカー:現場作業
大規模な産業機械はなく、各自が手作業で部品を組み立てていく現場です。
騒音もほとんどなく、有害なガスが出るでも無い。冷暖房も完備されていたので、快適な作業現場でした。
ただ、ほぼ動かない立ち仕事なので、ふくらはぎが常にパンパンで疲れが溜まりやすい。多少歩き回る作業を選んだ方が楽だと思います。
現場作業者でも客先対応は多少ありましたが、他部署にいた時より断然楽ですし、定時のチャイムがなったらすぐに帰りやすかったのは良かったですね。
製造業はきついところもあるけど悪くない


製造業って悪いイメージがありますが、土日休みの完全週休二日制の会社が多いし、長期休暇も比較的多く、休日関係では充実しています。
以前働いていた軽自動車の金属部品メーカーでは、夏季休暇が13連休くらいありましたし。
ただこれも、連休は少なくても平日に休みたい人にとってはデメリットにもなり得ますよね。
結局はその人の好みやライフスタイルによって、感じるキツさも変わるので、今回の記事を参考に確認してみてください。
なお、製造業のメリットやデメリットについてもっと詳しく知りたい人は、『【経験談】製造業のメリットとデメリットとは【向いてる人の特徴】』で解説していますのでどうぞ。